クレジットカードと電子マネー
クレジットカードと電子マネーは、どちらも現金を使わずにショッピングが出来る「キャッシュレス決済」を可能にします。
キャッシュレス決済は、現金で支払う煩雑さから開放されるのが最大のメリットです。
2019年10月予定の消費税10%引き上げに伴い、キャッシュレス決済にはポイント還元が行われることが決定したこともあり、ますますキャッシュレスへの関心が高まっています。
当記事では、クレジットカードと電子マネーの違いを見ていくことで、両者のメリット・デメリットを解説していきます。
これから利用しようと検討されている方はもちろん、既に利用している方もおさらいの意味で確認していきましょう。
キャッシュレス決済の種類

キャッシュレス決済(非現金決済)と一口に言っても、クレジットカードや電子マネーの他にもデビットカードやQRコード/バーコード決済、仮想通貨など、その種類は多岐にわたります。
改めてキャッシュレス決済と呼ばれる支払い方法の種類と特徴を押さえておきましょう。
クレジットカード | 商品を購入する際の後払い(ポストペイ方式)決済手段の一つ。カード会員の信用力に基づいて発行される。 |
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電子マネー | カード型、モバイル型など多種多様な種類が存在する。支払い方式はプリペイド方式・ポストペイ方式の2種類に大別される。 |
デビットカード | カードでの支払いと同時に、銀行口座から引き落としが行われる即時支払い方式が特徴。 |
QRコード/バーコード決済 | QRコードやバーコードを用いた電子決済システム。支払い方式はプリペイド方式・ポストペイ方式に加え、即時支払い方式が存在する。 |
スマホ決済 | 端末に搭載されたFelicaチップと専用アプリによる暗号化通信との組み合わせで利用できる決済サービスのこと。Apple Pay、Google Pay、LINE Payなど。 |
決済技術の進化やネットショッピング・スマートフォンの普及などの後押しにより、キャッシュレス決済は年々増加傾向にあります。
中でもクレジットカード・電子マネーの利用は目覚しく、2017年度の国内のクレジットカード・電子マネーの保有率は、8割以上に達していることが明らかになっています。
クレジットカード

クレジットカードは、その場で現金を支払うことなく後払いで商品の購入やサービスの利用を行うことが出来る決済手段です。
具体的には、契約者の番号その他の情報が記載、及び記録されたカードを指します。
クレジットカード発祥の米国では150年以上も前に発行されていることからも分かるとおり、最も歴史の長いキャッシュレス決済手段だと言えます。
ただし、カードの発行に際しては、個人の信用に基づいて審査が行われるため、比較的ハードルの高い決済方法と言えるかもしれません。
この審査という手続きがあるのが、前払い方式のプリペイドカード型電子マネーや即時払い方式のデビットカードと大きく異なる点です。
また、カードの利用限度額にも審査時に決定されます。
カードの入会にあたっては、信用情報(クレジットヒストリー・クレヒス)が非常に重要になります。
この信用情報に支払い遅延などの返済状況にマイナスな情報が記載されている場合は、カードの取得が難しくなります。
また、高齢(30歳前後が目安)で信用情報に全く情報が記載されていない状態(いわゆるスーパーホワイト)も審査においては不利になると言われています。
クレジットカードのメリット

クレジットカードには、主に以下のようなメリットがあります。
- カード利用でポイント還元がある
- 優待特典・サービスが充実
- 紛失・盗難被害の補償
- カードの不正利用を検知
- 利用状況をWEB明細で確認できる
カード利用でポイント還元がある
クレジットカードを利用するメリットの一つに、ポイント還元があることが上げられます。
カードの利用金額に応じて、一定の割合でポイントが付与されます。
付与されるポイントの還元率はカードによって異なります。
ポイント還元を重視される方は、高還元率(1.0%以上)のクレジットカードを選ぶことをおすすめします。
優待特典・サービスが充実
クレジットカードには、様々な魅力的な優待特典・サービスが付帯しています。
代表的なものとしては、海外・国内旅行保険や買い物・ショッピング保険、入会特典(ポイントプレゼントなど)、割引特典などが挙げられます。
単に決済手段としてだけでなく、旅行保険としても活用出来るため、特に海外旅行をする際は必須アイテムと言っても過言ではありません。
また、グレードの高いカード(ゴールドカード以上)には、空港ラウンジサービスやプライオリティ・パス、コンシェルジュサービス、レストラン優待などのサービスが付帯しているものもあります。
グレード・ランクの高いクレジットカードは、年会費も高くなる傾向にありますが、それに見合うだけの特典・サービスが提供されているため、有効活用出来る人にとっては大きなメリットであると言えます。
紛失・盗難被害の補償
クレジットカードには、紛失・盗難保障が自動付帯されています。
現金の入った財布を落とした場合、お金を抜き取られても補償を受けることは出来ません。
しかし、クレジットカードが入った財布を落として、第三者に不正利用された場合でも、その被害額はカード会社によって全て補償されます。
ただし、紛失・盗難被害の補償を受けるには、必ず手続きを行う必要があるため、煩雑さが伴うことを理解しておく必要があります。
また、「届出から60日前まで遡って補償」などのような条件があるため、日頃から不正利用に対して注意を払うことが大事になります。
カードの不正利用を検知
不審なカード利用を確認した場合、未然に被害を防止するための「不正検知システム」を導入しているクレジットカードもあります。
24時間365日、いつでもカードの不正使用をチェックしているため、万が一のカード犯罪を検知した場合は取引を保留します。
近年、カード犯罪が増加傾向にあるのは残念ながら事実です。
しかし、カード会社では、私たちが安全にクレジットカードを利用出来るように対策を取っています。
クレジットカードを使用する上で、第三者によるカードの不正利用は大きな不安材料ですが、不正検知システムや紛失・盗難保障が付いているので安心です。
利用状況をWEB明細で確認できる
多くのカード会社がWEBカード会員に向けて、クレジットカードの利用履歴をオンライン上で確認できる「WEB明細」を提供しています。
WEB明細をチェックすることで、毎月の利用状況を把握することが出来るため、使い過ぎを防ぐことが可能となります。
WEB明細の画面からcsvファイルでダウンロード出来るものもあるため、エクセル上で家計簿として管理することも出来ます。
また、定期的にチェックをすることで、身に覚えのないカード利用を発見することも出来るため、定期的なログイン・確認をおすすめします。
クレジットカードのデメリット

クレジットカードには、主に以下のようなデメリットがあります。
- サインや暗証番号を求められることも
- 年会費が発生するものもある
- 使い過ぎの危険性
- リボルビング払い(リボ払い)
- キャッシング機能
サインや暗証番号を求められることも
店舗でクレカ決済をする際に、サインの記載や暗証番号の入力を求められる場合があります。
その際、クレジットカード裏面に記載してある署名欄と同じサインを売上票に書く必要があります。
店舗で署名のないクレジットカードを利用した場合、店側のサインの求めに応じなかった場合は、決済を断られることがあります。
ICチップ搭載クレジットカードの決済時には、暗証番号の入力が必要な場合があります。
暗証番号を忘れている場合は、商品の購入が出来ないことがあります。
ちなみに、基本的にはコンビニやスーパーなどでは、サインや暗証番号を求められることはありません。
年会費が発生するものもある
クレジットカードは、利用している・していないにかかわらず年会費が発生するものがあります。
カードを有効に活用していれば特段問題はありませんが、ほとんど使っていない場合は支払う年会費分が丸々無駄になります。
付き合いで使わないカードを作った場合や手元に複数枚のカードを所有していて管理できない場合は、解約することも大事です。
ただし、年会費無料のクレジットカードもあるため、お得にカードを作ることも可能です。
使い過ぎの危険性
クレジットカードで購入した代金は、カード会社が立て替えて支払います。
この代金は、後日カード会社から請求されることになります。この取引を販売信用(クレジット)と言います。
その場で現金が減るわけではないため、金銭感覚が麻痺して使い過ぎてしまう危険性を指摘されることがあります。
キャッシュレスで商品・サービスを購入できるという利便性が魅力ですが、お金の流れを把握しにくいため浪費に繋がる事例もあるようです。
使いすぎが不安な方は、定期的にWEB明細で利用残高を確認することをおすすめします。
また、支払い方法を一回払いにする、利用した代金分をその都度口座に入金するなどの方法で使い過ぎを防ぎましょう。
また、カード会社に連絡をして、利用限度額を引き下げて貰うのも有効です。
リボルビング払い(リボ払い)
クレジットカードの支払い方法には、一括払い(一回払い)が一般的ですが、二回払いや分割払い、リボルビング払い(リボ払い)などもあります。
分割払いやリボ払いは、支払い(引き落とし)時に利息(金利)が発生します。
分割払いであれば、決まった回数で済むので、そこまで深刻化することはありません。
しかし、リボ払いは、毎月の支払額は一定ですが、支払い期間が長期化するケースも少なくないため、トータルで支払う利息が高額になることもあります。
基本的に、支払い方法をリボ払いに設定することはおすすめしません。
初めからリボ払いに設定されているクレジットカードもあるため、WEB管理画面などから支払い方法を確認(リボ払いの場合は別の支払い方法に変更)しておくようにしましょう。
キャッシング機能
クレジットカードには、お金を借りることが出来るキャッシング機能が付いています。
急な出費などには便利ですが、カードローンと同じように借金なので、使いすぎると返済負担が大きくなります。
場合によっては、支払いに困って返済不能に陥るリスクもあります。
計画的に利用する自信がないという人は、初めから利用しない方が無難でしょう。
クレジットカードを申し込む場合は、キャッシング枠の欄をゼロに設定しておくことをおすすめします。
電子マネー

電子マネーは、各企業が提供する情報通信技術を活用した電子決済サービスです。
電子マネー専用の読み取り機(リーダライタ)に、かざすだけで支払いが完了します。
クレジットカードと同様に、インターネット上で手軽に決済ができる、店頭で現金をやりとりする手間を省くことができるなどのメリットがあります。
また、社員証や会員証、鍵などに利用されているものもあるなど、現金の代替手段以外での活用方法も見られます。
電子マネーは、首都圏などの都市部では90%以上の保有率を誇るとも言われており、代表的なキャッシュレス決済のひとつです。
電子マネーのタイプ
電子マネーの代表的な利用形態には、専用カード、クレジット一体型、モバイル型があります。
- 専用カード … クレジットカード機能が付いていない電子マネー専用カード。
- クレジット一体型カード … クレジットカードに電子マネー機能が付いた一体型カード。
- モバイル型 … FeliCa(フェリカ)搭載の携帯電話で利用できる「おサイフケータイ」のこと。
専用カード

電子マネー専用カードは、その名の通り特定の電子マネーだけが利用出来るカードです。
クレジットカード機能は付いていないので、利用できる金額は少額なケースが一般的です。
「クレジットカードの利用はネットショッピングがメインだから、普段持ち歩くのは電子マネーが使えるカードだけでいい。」という人に適しています。
クレジット一体型カード

電子マネークレジット一体型カードは、クレジットカードに電子マネー機能が付いたカードです。
一枚にクレジットカード機能と電子マネー機能の2つが搭載されているため、かさ張らないのがメリットです。
たとえば、『iD』は三井住友カードやdカードなど、『Edy』は楽天カードなど、『QUICPay』はJCBカードやオリコカードなどに搭載されています。
モバイル型

電子マネーモバイル型は、FeliCa(フェリカ)搭載の携帯電話(スマートフォン・フィーチャーフォン)で利用出来る「おサイフケータイ」を指す場合が一般的です。
FeliCa(フェリカ)とは
ソニーが開発した非接触型ICカードの技術方式、および同社の登録商標のこと。
専用カードやクレジット一体型カードのようにカードではなく、スマートフォンなどを端末にかざすことで決済が出来ます。
店舗や自動販売機、インターネット通信販売の支払いなどで利用可能です。
また、乗車券、チケット、ポイント、会員証などといった様々な用途で活用されています。
モバイル型の種類
モバイル型(おサイフケータイ対応)の電子マネーには、以下のようなものがあります。
- 楽天Edy(エディ)
- Suica(スイカ)
- WAON(ワオン)
- nanaco(ナナコ)
- iD(アイディ)
- QUICPay(クイックペイ)/QUICPay+(クイックペイプラス)
『QUICPay+』は、Apple Pay、Google Payに搭載されています。
電子マネーの支払い方法は、大きくプリペイド式とポストペイ式の2種類に分けられます。
プリペイド式
プリペイド式とは、現金や料金をあらかじめ前払いする方式を指します。前払い式とも呼ばれます。
プリペイド式のチャージできる上限額は、2~5万円程度と少額です。
下表では、プリペイド式電子マネーをチャージ上限額、1回のチャージ可能額でまとめています。
電子マネー | チャージ上限額 | 1回のチャージ可能額 |
---|---|---|
Suica | 2万円 | 500円、1,000円、2,000円、3,000円、5,000円、10,000円の6種類から選べる |
PASMO | 事業者によって異なる | |
nanaco | 5万円 | 1,000円単位で49,000円まで |
WAON | 29,000円まで | |
楽天Edy | 25,000円まで |
チャージ方法は、現金、銀行口座、クレジットカード、オートチャージなどを利用できます。
電子決済においてプリペイド式のサービスは、支払い額があらかじめ制限されているため、浪費を回避できるというメリットがあります。
また、盗難や紛失により第三者に不正利用された場合でも、損失は入金されている金額分だけなので被害を最小限にとどめることが出来ます。
通常、専用カード、モバイル型の2種類の利用方法から選ぶことでが出来ます。
プリペイド式の種類
代表的なプリペイド式電子マネーには、以下のようなものがあります。
- 楽天Edy
- Suica
- WAON
- nanaco
- PASMO
ポストペイ式
ポストペイ式とは、後日、料金を支払う方式を指します。後払い式とも呼ばれます。
プリペイド式のように、その都度チャージをする必要はありません。
利用金額は、クレジットカードと同じように後から請求されることになるため、クレジット決済の一つとされています。
そのため、ポストペイ式電子マネーの利用は、クレジットカードの審査に通ることが前提条件となります。
電子マネーを利用して店舗で商品を購入した後、送付される請求書の代金を支払うことで手続きは完了します。
一般的には、クレジットカードに紐付け決済のものがほとんどです。
そのため、不正利用による損失補償を受けることが可能なものも存在します。
通常、専用カード、クレジット一体型、モバイル型の3種類の利用方法から選ぶことでが出来ます。
ポストペイ式の種類
代表的なポストペイ式電子マネーには、以下のようなものがあります。
- iD
- QUICPay/QUICPay+
- PiTaPa
電子マネーのメリット

電子マネーには、主に以下のようなメリットがあります。
- ポイントが付くものも
- 少額利用に適している
- 補償が受けられる(ポストペイ式)
ポイントが付くものも
クレジットカードと同様に、支払い金額に応じてポイントが付与される電子マネーも少なくありません。
使用する場所によっては、クレジットカードよりもポイントの還元率が高いものもあります。
電子マネー加盟店のポイントと電子マネーのポイントが2重に貯まるケースもあるので見逃せません。
少額利用に適している
少額商品を購入する際に、クレジットカードで支払うのは少し気が引けるという場合もあるかと思います。
しかし、電子マネーはサインレスで決済できるので、ちょっとした買い物にも便利です。
特にプリペイド式は少額しかチャージできないので、日常的な利用に最適です。
また、紛失や盗難に遭った場合でも、被害が大きくなることはありません。
紛失や盗難に気付いた時は、速やかに電子マネーの発行会社に連絡をして利用停止を伝えて下さい。
補償が受けられる(ポストペイ式)
ポストペイ式の電子マネーは、クレジットカードと連動しているため、同様の補償を受けることが出来ます。
紛失・盗難に遭った場合、手続きを行うことで被害額を保険の範囲内で保証してもらえます。
電子マネーのデメリット

電子マネーには、主に以下のようなデメリットがあります。
- 種類が多く互換性がない
- 補償がない(プリペイド式)
- 浪費に繋がるリスク
種類が多く互換性がない
電子マネーは、様々な会社が提供しているため種類が多い点が特徴です。
また、基本的には各電子マネーに互換性はありません。
電子マネーの利便性による集客効果を考慮して、様々な店舗が導入を進めています。
しかし、ランニングコストや決済手数料の観点から全ての店舗が全ての電子マネーを導入できるわけではありません。
そのため、複数個所で使う場合は、それぞれの場所に対応する電子マネーを用意しておく必要があります。
ただし、JR東日本の「Suica」、JR西日本の「ICOCA」、JR東海の「TOICA」などの交通系電子マネー(ICカード)のように相互利用できるものもあります。
補償がない(プリペイド式)
クレジットカードには、紛失・盗難保障が付いていますが、基本的にプリペイド式の電子マネーには損失を補償する保険がありません。
そのため、落としたり、失くしたりした場合には、チャージしていたお金がゼロになります。
ただし、Suicaのように紛失・盗難に遭った場合に利用停止手続きを行うことで、それ以降の入金(チャージ)残額を保証してくれるものもあります。
浪費に繋がるリスク
電子マネーは、現金とは違って実体がありません。
お金を使っても実際に減っていく過程を目で見て確認することができないため、浪費・無駄遣いに繋がると指摘する意見もあります。
プリペイド式はチャージした分だけ使えるので、ある程度計画的に使うことが出来ます。
一方、ポストペイ式はクレジットカードに紐付けられているため、限度額は高額になります。
QUICPayの利用上限は1回あたり20,000円までですが、iDの利用上限は利用店舗によって異なります。
基本的には、クレジットカードと同じように、使いすぎを防ぐように意識して利用する必要があります。
まとめ
クレジットカード・電子マネーは、買い物時にスムーズでスピーディな決済を可能にします。
煩雑な手間を回避することができる点が最大のメリットだと言えます。
ただし、全てのお店がキャッシュレス決済に対応しているわけではありません。
クレジットカード・電子マネー共に特定の店舗や個人経営のお店などでは使用できないこともあります。
また、自然災害などの有事の際にはクレジットカードや電子マネーの利用が不可能になる事態もあるようです。
そのため、あまり過信をすることなく、もしもの時に備えて現金の所持も視野に入れておくことをおすすめします。
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